血液透析と共に透析療法のひとつです。この場合、透析液を腹腔内(腹膜)に注入(および排出)していきますが、それを行いやすくするために専用のカテーテルを留置するための手術(腹腔内カテーテル留置術)を行います。
腹膜透析とは、腹膜(臓器に覆われている薄い膜)を利用して透析を行っていく方法になります。腹腔内に透析液を注入することで腹膜を介して腸管に覆われた血液と透析液によって小~中分子量の物質(尿毒素や電解質)が移動します。これによって、透析液に老廃物や余分な水分が移動するようになり老廃物を含んだ透析液を排液することで体内の血液を浄化する方法です。同療法に関しては、腹膜の癒着が強いとされる患者様については十分な治療を実施することができません。
なお腹膜透析の方法は、持続携行式腹膜透析(CAPD)と自動腹膜透析(APD)の2種類があります。CAPDは持続的(1日24時間)に腹膜透析が行われ、1500~2000mLの透析液が注入されます。この間は、患者様ご自身で1日数回程度の透析液交換が必要となります。(1回の交換によってかかる時間は20~30分、交換する間隔は4~8時間程度)。APDについては、夜寝ている間に透析を行います。その際は、サイクラーと呼ばれる自動腹膜装置を使います。就寝前に透析のために同装置への接続を行い、起床後に装着した装置を外します。
腹膜透析は自身が自宅で行う治療のためご本人の理解力やご家族の協力が必要になる治療です。血液透析は週3回の通院があることに比べ腹膜透析は原則月1~2回の通院となるため、自身が仕事をしたり活動性が高い場合には腹膜透析もいい選択であると考えます。さらに最近では高齢者が自宅でできる限り過ごせる治療として介助者や協力者がいる前提で寿命を全うするまで腹膜透析をするラストPDという選択もあります。
また血液透析と比較すると、血液から直接浄化を行う血液透析と比べ腹膜透析は血圧が変動しにくく心臓などへの負担が少ないとされております。また、時間をかけて透析が行われるので、体への負担がかかりにくいというのもあります。
しかしながら腹膜透析を長年行っていると腹膜に透析液が曝露され続けた結果、腹膜が固くなり腸閉塞や腸虚血などの合併症がおきてしまうリスクが高くなるため腹膜透析は長い間できる治療ではないため必ず数年で血液透析へ移行します。
当院では、腹膜透析の導入から維持期まで対応が可能です。腹膜透析は自宅での治療であるため生活指導も重要となります。当院では経験豊富な医師、看護師が中心となり検査データのみではなく生活の状況も考慮しながらできる限り長く続けられることを目標にサポートしていきます。施設内では血液維持透析も同様に行っているため将来的に血液透析へ移行する場合にもスムーズに安心して行えます。さらに感染などの合併症で入院が必要な場合には連携している医療機関へ紹介もいたします。