高血圧とは

高血圧

血液は体の中を絶えず循環しています。その血液は、心臓から各器官へと血液(酸素や栄養素を含む)を送り、各器官からは二酸化炭素や汚れた血液を回収し、肺へと回収されていきます。その際に心臓はポンプのように収縮や拡張をするわけですが、その度に血液の通り道である血管壁に圧が加わるなどするのですが、これを血圧と言います。

この血圧が慢性的に高いと判定されると高血圧と診断されます。その数値とは、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90 mmHg以上とされ、両方とも該当、もしくはどちらか一方が該当する場合としています。

原因

発症の原因については高血圧になりやすい体質に、日頃の不摂生(塩分の過剰摂取、運動不足、肥満、ストレス、喫煙、多量の飲酒 等)が組み合わさるなどして起こるのではないかと言われています。何らかの病気(クッシング症候群や原発性アルドステロン症等の内分泌疾患、腎血管性高血圧等の血管疾患、睡眠時無呼吸症候群 等)の発症、使用している薬剤(NSAIDs 等)の影響などによって発症する高血圧を二次性高血圧といいます。
腎臓自体も血圧を調節するホルモンを出しており腎機能障害が進行した場合や腎炎が背景にある場合にも血圧が上昇することもあります。

合併症

高血圧は自覚症状が出にくい病気です。ただその間も心臓から余分な負荷をかけて血液は送られるので血管壁は損傷し続けることになります。これが動脈硬化を促進させ、血管内部が脆弱化するなどして血管狭窄や血管閉塞が起きるようになります。腎臓においては血圧が高い状態が続くと糸球体の内圧が高くなり負担がかかってしまいます。その結果糸球体が硬化してしまい腎不全が進行します。高血圧を放置したり管理不良な状態が長期間続くと急激な臓器障害が起きてしまう可能性や将来的な重篤な血管障害を引き起こすリスクが高くなります。
日々の良好な血圧管理が脳血管障害(脳梗塞、脳出血 等)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、腎機能障害といった重篤な合併症を予防できるエビデンスがあります。日頃から定期的に血圧測定を行い、高血圧が疑われる数値を確認した場合(家庭で血圧を測定される場合は、収縮期血圧が135mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上)は、一度当院を受診されるようにしてください。

治療について

降圧の目的は血圧をコントロールし合併症を引き起こさないことです。降圧目標値を設定しますが各学会のガイドラインにより目標値は異なります。臓器障害を予防、進展抑制のため血圧管理は一番重要といっても過言ではございません。
目標値については、まず75歳の年齢で分けられます。75歳以上においては収縮期血圧150mmHgを目標とします。75歳未満におきましては糖尿病の有無や尿蛋白の有無で収縮期血圧140mmHgと130mmHgの目標値が異なります。糖尿病がなく蛋白尿を認めない場合には収縮期血圧140mmHgと拡張期血圧90mmHgが目標であり、糖尿病もしくは尿蛋白を認める場合には収縮期血圧130mmHgと拡張期血圧80mmHgが目標となっております。

治療に関してですが、まずは生活習慣の見直しから始めていきます。具体的には、喫煙者の方は禁煙します。また食事では1日に摂取する塩分の量を6g未満に制限し、肉類や卵などに含まれる飽和脂肪酸は避け、野菜や果物に多く含まれる不飽和脂肪酸を積極的に摂取していきます。さらに運動も血圧を下げる効果があるので取り入れます。ただ激しい運動量は逆に血圧を上昇させます。運動量としては、やや汗ばむ程度の強度でウォーキングや軽度なジョギング、サイクリング等の有酸素運動を30分以上行うようにしてください。週3~5日程度に行うのが望ましいです。また肥満の方は、心臓に負担をかけているので、BMI25未満を目指して減量をしていきます。

上記の生活習慣の改善だけでは、血圧のコントロールが困難な場合は、併せて薬物療法も行います。処方されるお薬については年齢や心血管病の既往歴(慢性心不全や心筋梗塞や狭心症)や慢性腎臓病の状態(腎機能数値や尿蛋白の有無)でエビデンスを持った薬剤を選択する必要があり、それぞれの患者様の状態によって調節いたします。

降圧薬の種類としては、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、利尿薬、αβ遮断薬、ドーパミン遮断薬など多岐にわたります。医師の指示通りに服用し、血圧が下がったとして自己判断で止めることはしないでください。疑問や質問があれば、通院時に医師にご相談ください。