腎臓内科とは

代表的な疾患

たんぱく尿、血尿、腎炎(急性、慢性)、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、腎不全、高血圧症、透析に関係した合併症 など

腎臓内科

日本腎臓学会が認定する腎臓専門医・指導医でもある当院長が担当します。腎臓は腰のあたりに左右2つあり、1つの腎臓の中に糸球体と呼ばれる血液をろ過するものが100万個あります。糸球体で濾過された血液は尿細管とよばれる通り道で吸収と分泌を繰り返すことで体内の老廃物、水分、電解質を調節し最終的に尿を生成します。腎臓はその働き以外にも造血、ビタミンD活性化などの必要なホルモンを作るという役割があります。これらの働きが十分でないと、様々な症状がみられることがあります。
腎機能障害は急性と慢性の障害にわかれます。急性の障害は数日から数週間でもともとの腎臓の働きが何かしらの原因で急激に増悪する状態であり、場合によっては入院が必要なこともあるため適切な検査を行い状態によっては入院施設へ紹介をさせていただきます。慢性の障害については慢性腎臓病として長期にかけてフォローしていく必要があり、これまでのご病気の既往や生活習慣や日々の食事など様々な評価が必要となります。
私は腎臓内科医として慢性腎臓病の患者様へのケアのみではなく、現在は腎臓の数値が保たれている患者様でも適切な検査を行うことで、将来的に腎不全が進行するリスクが高い患者様に対していかにクリニックのレベルで早期に介入できるかが腎臓領域として必要なことではないかと考えております。腎臓病は自覚症状が出るころには末期の状態となっていることが多く、腎機能障害が少しでも進行してからであれば遅いといわれております。さらに腎機能が悪いことや尿蛋白を認めているという事実があるだけで心血管合併症のリスクがあがるという統計もあるため、腎臓をケアすることは健康寿命を延ばすといっても過言ではありません。
しかし、私の経験上では多くの患者様は腎機能障害が進行してからの紹介であり、その時点からの介入では透析自体を数週間から数ケ月単位でしか伸ばせられることができず、非常に歯がゆい思いをたくさんしてきました。当院では腎機能障害が進行する前に尿所見異常をはじめとしたサインを見逃さずに適切に対応し、少しでも透析が必要となる状態を伸ばせられるように努めます。

慢性腎臓病

慢性腎臓病についてはこちら

尿所見異常

腎機能障害の指標として採血のデータと同様に尿検査の所見も非常に大切となります。

たんぱく尿

尿の中には、たんぱく質成分(アルプミン 等)が含まれています。健康な方であれば、その排出量は1日で100mg未満と言われています。この排出量が1日で150mg以上の量が排出されるとたんぱく尿と診断されます。

たんぱく尿がみられる場合、腎臓そのものが病気(糖尿病性腎症、糸球体疾患、尿細管間質性腎炎 等)に罹患していることが考えられます。腎臓以外の原因でたんぱく尿になる病気としては、多発性骨髄腫、溶血性疾患、横紋筋融解症が挙げられます。さらに腎臓に異常はなくても、その先の尿路(尿管、膀胱、尿道)で、炎症、腫瘍、結石等があると尿の中にたんぱく質が排出されることもあります。なお上記以外にも生理的な要因でたんぱく尿がみられることもあります。例えば、激しい運動をした後、発熱やストレスの影響、起立時などに一過性のたんぱく尿がみられることもあります。

たんぱく尿は尿にたんぱくが漏れ出ている状態のため、ご自身では特に自覚症状がありません。しかしながら、腎臓にとっては内部の異常を表しているサインであり早めに専門医に評価してもらう必要があります。腎臓の働きが保てている段階でたんぱく尿に対する対応が重要であり場合によっては腎生検が必要なこともあります。たんぱく尿の影響は腎臓だけではなく、たんぱく尿が出ているだけで心血管合併症(心筋梗塞や心不全)が増加することも証明されております。
当院ではたんぱく尿に対して適切に精査をし、場合によっては薬物治療を行い腎臓の負担が少なくできるように努めます。

尿潜血

尿中に血液が混じっている状態を尿潜血と言います。血が混じったおしっこについては、肉眼であきらかに血液が混在していることがはっきりわかる肉眼的血尿があります。また見た目は普通の尿と変わらないものの顕微鏡による検査で赤血球を5個以上確認されることで、顕微鏡的血尿(尿潜血陽性)と診断されることがあります。

なお尿潜血陽性と判定されたケースでも生理的要因もあれば、何らかの病気が原因であることもあります。生理的いわゆる一過性の血尿の場合、運動を激しくした後、月経の影響、発熱や過労等が挙げられます。

また何らかの病気が原因の場合、腎・泌尿器疾患であれば、炎症(腎炎(急性・慢性)、膀胱炎、尿道炎)や尿路結石(腎臓、尿管、膀胱)、腫瘍(腎臓、尿管、膀胱)、腎臓の外傷などによって、尿中に出血が混じるようになります。

以下のような症状があれば、一度ご受診ください(例)

  • 健康診断の結果から血尿やたんぱく尿を指摘された
  • 身体にむくみがある
  • 尿が泡立っている
  • 倦怠感の原因が不明
  • 尿の色、量、臭い、回数に変化がみられる など