慢性腎臓病とは

慢性腎臓病

腎臓の機能が慢性的に低下している状態を表します。具体的には採血で血清クレアチニン(Cre)をもとに算出したeGFRが60min/ml/1.73m²以下である、またはたんぱく尿が出ている状態が3ヵ月以上続いているという状態が慢性腎臓病(CKD)と診断されます。
怖いことに慢性腎臓病は末期状態となるまで自覚症状がでない、慢性的に機能が低下した腎臓は回復しません。これは人間が老化するように腎臓も年を重ねるごとに老化すると理解してもらいます。腎機能障害が増悪する原因はさまざまでありますが、まずは生活習慣病管理が非常に大切です。
当院では高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症を中心とした生活習慣病に対する治療も重視しており、そのうえで腎保護において重要な薬剤を選択させていただきます。さらに食事療法も重点をおき指導も行っていきます。過去の医療であれば慢性腎臓病(CKD)に対しては特に有効な対処方法がなく食事療法のみが主体となっておりましたが、現在は腎保護薬としてSGLT2阻害薬という薬剤や糖尿病に罹患している患者様であればミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノンという薬剤に腎臓病の進行を遅らせるエビデンスが証明されており、腎臓内科の専門医には必須の薬剤となっております。これらの薬剤を使用しながら、いかに慢性的な腎機能の低下速度を抑えることが大切となります。

検査について

慢性腎臓病が疑われる場合、尿検査(たんぱく尿や血尿の有無を調べる)、血液検査(血清クレアチニン、BUN等の数値を測定)を行います。さらに超音波検査により腎臓の状態や病変の有無などを調べていきます。腎機能が保たれている状態で血尿やたんぱく尿が持続している場合には、腎炎など病気が隠れている可能性が高いため腎生検を行います。また尿所見異常がない場合でも、年齢に比して腎機能が悪い場合には腎生検を行うこともあります。これは腎臓の一部を採取し、顕微鏡で詳細を調べる検査で、背中から腎臓に向けて針を刺し、組織の一部を採取します。生検時は局所麻酔が行われます。

腎代替療法選択指導とは

残念ながらどれほど生活指導、食事指導、生活習慣病管理、薬物療法を行い腎機能障害の増悪スピードを遅らせても、治療効果が乏しい場合や介入時点で腎障害が確立されてしまっている場合やもともとの腎臓の力が弱い患者様は慢性腎臓病ステージ4、5と腎機能障害は進行してしまいます。さらに今宵の高齢化社会に伴い平均寿命が延びたことで腎機能が廃絶してしまい透析が必要な状態となる患者様も増えています。腎臓の働きが正常な腎臓の20%未満の状態になると体内にある老廃物や余分な水分などを排泄することができず、尿毒症の症状(食欲低下、頭痛、吐き気、易疲労性、むくみ、動悸・息切れ、息苦しい 等)がみられるようになります。
腎機能障害が進行してしまい将来的に透析が避けられないと予測される患者様は将来設計が大切であり、治療法の選択が必要となります。透析が始まれば患者様のみでなくそのご家族も生活上でも大きな変化になるため、腎機能が廃絶する前にそれぞれの治療について説明を行うことで方針を決めていく必要があります。当院では経験豊富な医師、看護師、栄養士を含めたチームで、患者様とそのご家族に対して透析を含めた腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植など)の説明を適格な時期に行います。当院の方針として腎臓の障害が起きる前の段階から透析が必要となる末期腎不全の状態まで一元に管理できることを特徴とします。

血液透析について

腹膜透析について

在宅治療に関して

当院は在宅医療専門クリニックと連携をしております。ご高齢となり当院へ通院が自己で困難となってきた場合に、在宅医と連携しながら当院への通院を併用する事が可能です。

慢性腎臓病における在宅医療

我が国の平均寿命が年々伸びており高齢化社会となってきておりますが、透析分野における年齢層も年々伸びてきており日本透析学会の統計ではここ30年で透析患者の導入年齢も61.01歳→71.42歳と高齢化してきております。腎臓の働きは年齢とともに年々落ちていくため高齢になってから腎代替療法が必要になるケースもかなり増えてきております。高齢になれば足腰の筋力低下や認知機能や併存疾患などの問題から自己での通院自体が困難になってくるため、腎代替療法選択を決めるにあたってもご家族の協力や負担も含めた検討が必要となってきます。そのため、ご家族やご自身と話し合いを重ねた結果、透析治療を行わない透析非導入という選択肢があります。透析非導入の方針の場合は家族の協力の元で通院が可能である限りは当院で薬剤調節を行い、自宅における生活の相談や応急処置や緊急対応などは在宅医療専門クリニックと連携を行った上でサポートいたします。
また、ご高齢で血液透析や腹膜透析を行う場合においても生涯にわたり治療を続けていく必要があるため、自宅での医学的管理が必要となってくる場合も多くみられます。そういった場合においても在宅医療専門クリニックと連携しながら普段の透析治療から在宅治療においても総合的にサポートさせていただきます。